筆者は矯正歯科の患者の一人でしたので、治療中の痛みや煩わしさを誰よりも知っています。
ですので、今流行り?の上の写真にありますマウスピース型の「インビザライン」という矯正治療法を知った時は、
「そんなんで歯並びは治るんか?」
と、昔歯科医院で働いていた時にも「インビザライン」の治療をされていた患者さんがいらっしゃったのにすっかりそのことを忘れていまして、「インビザライン」の魅力を改めて調べて興奮したり、腑に落ちないことも多々見つかり、これから「インビザライン」を始めたい方へと参考になればと、少しばかり営業妨害になるかもしれませんが書かせていただきます。
筆者は腑に落ちないと書きましたが、決してそんなこともありません。(どっちだ?)基本的に従来の金具の矯正装置の治療と変わらないです。
ただ、筆者が腑に落ちないのは、「インビザライン」を推奨している歯科医院はメリットを大々的に言い過ぎだと思います。
適応部位ではない患者さんもいらっしゃいます。
なんでも「インビザラインは良いよ~。金具もつけないから歯の矯正をしているなんて人から見て分からないよ!」
と歯科医院が宣伝したとします。
人というのは、楽な心理に考えることが多いので、「インビザライン」の適応部位ではない患者さんがその宣伝をご覧になって、電車で何時間もかかる歯科医院へわざわざ足を運んでくださり、適応部位ではないことを知ったその患者さんはぬか喜びになってしまいます。
まあ、口腔内を見なければ分からないこともありますが、筆者としては非適応の部位くらいは書いておいてほしいです。
ですが、「インビザライン」はとても画期的な矯正方法です。
最近では、俗にいう「出っ歯」なら軽いものだと直せるみたいですね。
目から鱗です。
「インビザライン」の魅力を皆さんに知ってほしいですが、その前に
筆者なりに「インビザライン」に不適応そうな歯を考えてみました。
・ある治療対象の歯が、他の歯のかみ合わせの位置より低い歯。
→「インビザライン」はマウスピースですので、他の歯よりも低い歯を噛み合わせの方向へ引っ張ることはできません。
・上述の対象の歯とは逆に、他のかみ合わせの位置より治療対象の歯が高い歯。
→「インビザライン」でも出来るかもしれませんが、この歯の根っこ側に圧迫させる方法は一番力がかかります。出来るか出来ないか微妙なところです。
・明らかに対象の歯が、歯列から飛び出しすぎていたり、歯が傾きすぎている。
→マウスピースが上手に作製出来るか気になります。
・過蓋咬合(下の前歯が上の前歯に2/3以上覆ってしまうかみ合わせ)
→こちらも不正咬合の対象ですが、患者さん本人が矯正治療対象だと気づいていないです。こちらは「インビザライン」ではなく上あごをインプラントを用いて後方に持ち上げた治療法の方が良いと思います。
思いついたのはこれだけですが、条件がそろえば「インビザライン」治療の対象になるかと思います。
さて今度は、「インビザライン」の魅力はどんなものがあるでしょうか?
① 尖っている矯正装置(ブラケットなど)を使用しないので、口腔粘膜を傷つけない。
② 食事や歯磨きの時は取り外しが出来るので、普段ど おりの食事や歯磨きが簡単に行える。
③ 透明なマウスピースなので、見た目が目立たない。
④ プレゼンテーションなど人前でお話する予定の方は、外して行うことができ るので、滑舌を損なわずにできる。
です。
そこで、今度は「インビザライン」だけでなく一般のブラケット治療をされる方の注意点をお話します。
よく、一つも歯を抜かないで矯正治療が出来る歯科医院が存在しますが、親知らずは生えても生えていなくても、レントゲンで親知らずの歯の存在が確認出来ましたら抜歯必須です。
親知らず以外にも前歯の後ろにある小臼歯という歯を抜く必要があります。
抜かなくても良いという方症例は、歯と歯の隙間がある隙っ歯(すきっぱ)のある患者さんだけです。
歯を一つも抜かなくても歯並びを直せることは直せますが、スペースのない小さいあごに強引に歯を押し込めますので、口元の見た目が引き締まりがなくなり悪くなります。
しかも、後に後戻りをするでしょう。
「口元の見た目が悪くなっても私は歯を抜かないで矯正したいわ」
という方もいらっしゃると思いますので、それはそれでよろしいかと思います。
世の中にはいろんな方がいらっしゃると思います。
ですが後戻りはしてしまいますので、もし、歯を抜かない矯正をご選択されましたら、保定装置という後戻りをしないために直した歯並びを落ち着かせるために付けるものがあるのですが、2年か3年くらいつけておくものです。2年3年といわずに寝る時だけでも継続的に使われると後戻りは多少防止できるでしょう。
しかし、歯を抜かないと将来的に顎関節にも影響が出てくるでしょう。